中古マンションをリノベーション、事前に確認したい”音”のトラブル
中古マンション市場が活況を呈しています。このコラムを読まれている方の中にも、投資物件として中古マンションを購入している方や、これから購入を考えている不動産投資家がいらっしゃるのではと思います。
中古マンションは価格面でいうまでもありませんが、性能面や室内の状態でどうしても不安が多いことから、リノベーションやリフォームを考える方も少なくありません。特にリノベーションに関しては、購入前にしっかり確認しておきたいポイントがあります。その中でも、今回は”音”のトラブルについてご紹介します。
リノベーションとは?
そもそも、リノベーションとは何を指すのでしょう? 「お得な中古住宅を購入して自分好みにリフォーム・リノベーションする人が増えている」といった話を耳にしたことがあると思いますが、その違いは説明できるでしょうか。
一般的に、建物を長持ちさせることを前提とした性能向上まで行うことをリノベーションと言います。リノベーションをするにあたっては、上下水道の配水管や、電気配線など内装を施したあとに隠蔽されてしまう「見えない部分」のリスクをきちんと調べ、説明できる会社を選ぶことが大切です。
一方リフォームは老朽化した建物を元の状態に戻すこといい、壁紙の張り替えなどの比較的小規模な工事を指します。
リノベーションの要注意ポイントと対策
購入前は「性能はどうなのか」といったことにも関心があったのに、いざリフォーム・リノベーションの段階になると、どうしても新しく作るお部屋の間取りやデザインなど、目に見える部分に気を取られがちです。
しかし、居住者が快適に暮らすことのできる魅力ある物件にするためには、リノベーションを始める前に、建物のコンディションを見極め、どんなところの性能を向上させられるかをしっかりチェックしたいものです。
では、今回ご紹介する中古マンションにありがちな”音”のトラブルについて、詳しくご説明したいと思います。
上の住人が水を流すたびに音が気になる…なぜ?
共同住宅では上階から流れる水の排水管が住戸の中を通っているので、完全に水の音を聞こえなくするというのは簡単ではありません。
ですが、最近建設されている分譲マンションでは遮音対策が施されており、極力水が流れる音が聞こえにくいようになっています。中古マンションもほんの少しの工夫で、排水音の遮音対策が可能となります。
●真上の階の配水管が天井裏にある場合
築年数が古いマンションでは下階の天井裏に排水管を通している物件は珍しくありません。
トイレやお風呂、洗面台、キッチン、洗濯機など上階の方が水を使うたびにかなり排水音が聞こえやすいという可能性があります。
●集合の排水管(排水縦管)が住戸内にある
ほとんどのマンションで、各住戸の排水をまとめて流す排水縦管は住戸内にあります。
当時は遮音材を巻くことが一般的ではなかったので、内装を解体して出てきた排水管も遮音材はありません。
最上階でない限り、この排水縦管にはその住戸より上にある全住戸の水が流されます。ですから、かなりの頻度でここに水が流れます。つまり、下の階になればなるほど水が流れる頻度が高くなり、音に悩まされるということになります。
排水管の遮音性を高めるポイントとしては、遮音材を巻くことがおすすめです。
写真の黒いシートが遮音材なのですが、鉛が練りこまれた質量が重いシートで、配管に巻くと音が漏れにくくなります。このシートを巻いても多少流水音は漏れますので、更に遮音性を高める場合には、配管を囲む石膏ボード(壁や天井の下地材)を厚めのものにしたり、二重に貼ったりなどの対策を施すことも考えます。
その住戸の状況により、遮音対策の案は複数考えられますので、リノベーション工事の打ち合わせのときなど、物件に合った遮音対策案を相談しながら進めましょう。また、第三者として客観的なアドバイスをする、ホームインスペクター(住宅診断士)に調査を依頼するのも一つの手です。
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