投資用新築一戸建て工事中のチェックポイント⑨ 土台敷き~上棟
投資用新築一戸建て工事中のチェックポイントを工程ごとにご紹介する本連載、前回はコンクリートの打設についてご紹介しました。
第9回は投資用新築一戸建て新築工事のハイライト「上棟」について。工事中の第三者現場チェックサービス「新築工事チェック」を行うホームインスペクター(住宅診断士)が注意点を解説します!
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土台敷き
基礎の上に土台を設置していくことを、「土台敷き(どだいしき)」と言います。
昔は土台を含む床下の湿気対策として、基礎に穴を開け、そこに床下用の換気口「床下換気口」や「風窓」を設けていました。しかし、開口部をつくるとどうしても基礎の強度が落ちてヒビが入りやすくなったり、換気口の位置や方向によっては上手く換気できないこともあるため、最近ではあまり見られなくなりました。
現在では、床下換気口にかわって主流なのが、「基礎パッキン工法」。基礎コンクリートと土台の間にパッキンを置いて、そこに2cm前後の隙間を作り、そのすき間で換気を行う方法です。この方法の場合、基礎の全周にわたってすき間ができ、開口部がないために基礎の強度も高めることができます。上の写真で基礎と土台の間に見える黒い部分です。
上の写真は、完成後の床下から見た「(下から)基礎+基礎パッキン+土台」の様子。基礎パッキンを置く位置には決まりがあります。たとえば柱の下やアンカーボルトの下、土台の継手の位置など、建物の力がかかる位置にいれていくのが基本。またそれぞれの間隔は、軸組工法(在来工法)では1m以内、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)では50cm以内に入れていく必要があります。
実際の現場では基礎パッキンの入れ方がいい加減だったり、数が足りなかったりするケースがあります。すべて完璧に入っている現場のほうが少ないかもしれません。ただ、近年では基礎パッキンの位置をあまり気にしなくてもよいロングタイプのパッキンが用いられている現場も多くなっていますので、気になるところがあったら職人さんに聞いてみましょう。
上棟
軸組工法(在来工法)の場合
土台敷きが終わると土台の上に柱を立てて、その上に梁などを載せていきます。この作業を「建て方(たてかた)」といいます。
最近ではプレカット工法が使われることがほとんど。プレカット工法とは、建物に使う木材をあらかじめ工場で加工しておく方法です。工場で加工するため継手などの精度が高くなり、現場での加工がほとんどないことから工期も短縮できます。
工場から送られてきた木材は、使う場所ごとに梱包され、トラックで現場に搬入されます。木材には建築主(施主)の名前や、建築地の住所が貼ってあります。人手がいる建て方なので、これから建物をつくる担当の大工さんに加え、応援の大工さんも何人かいるのが普通です。
敷地に余裕があるときには、材料を上げるときにクレーンを使います。現場にクレーンが入らないところでは、手作業で材料を運ぶことになり、組み上がるまでに時間がかかります。クレーンを使うときは、安全のため現場の近くには寄らないでください。何かのトラブルで材料などが落下してケガをしてしまう可能性があるからです。
現在の建物は、木造であっても金物をとても多く使います。建て方工事を行うときにすべての金物を付けたり絞めたりするのは難しいため、金物の確認は建物が組みあがったあとに行います。
プレカット工法では工場であらかじめ加工された部材を使うため、昔のように現場で柱や梁を加工するということはほとんどありません。そのため一般的な大きさの建物であれば、1階の柱を立てて屋根の下地が完成するまで、ほぼ1日で終了します。
最近では少なくなったものの、上棟が終わると「上棟式(じょうとうしき)」を行うのが通例でした。これは無事に棟木が上がったことを祝うとともに、これからの工事の安全をお祈りするもの。地域によって上棟式の内容には違いがあるため、上棟式を行うなら施工業者に尋ねてみるのがよいでしょう。
枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の場合
枠組壁工法(ツーバイフォー工法)は土台から屋根の完成までにある程度の日数が必要です。それは軸組工法と違い、建物が壁で構成されているため。
まず1階の床を組んだあとに1階の壁を立ち上げ、その上に2階の床を作ります。次に2階の床ができたら2階の壁を立ち上げ、そのあとに屋根を作ります。もし3階建なら、同じく3階の壁を立てたあと、屋根をつくるという順番になります。
軸組工法と違い、屋根の完成が遅くなるため、屋根が完成するまでに長雨が続くと、部材にカビが発生してしまう恐れがあります。
枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の壁面に使われる合板(ごうはん)は、水濡れにとても強いものです。数日の雨くらいなら、構造的に問題がでるものではありません。
さて次回は、組みあがった建物の金物のチェックを解説します。建物の耐久性・耐震性を決める大事なポイントです。