新築マンション内覧会同行で見つかった不具合の事例
さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)が、「新築マンション内覧会同行」で見た、不具合の事例をご紹介します。
見つかった不具合事例
●大きな床の傾き
上記写真では、フローリング傾きが、200mmの範囲で約10mm近くあります。スケールの目盛は約9mmですが、左側の巾木のところでは約10mmもあり、計算上、50mm/1000mmになります。一般的な床の許容誤差は3mm/1000mmですから実に許容誤差の約17倍近く傾いてる、ということになります。
●排気ダクトの接続不良
ユニットバスに取り付けられている換気扇とダクト(配管)が接続されていません。このまま換気扇を作動させると、浴室内の湿気を含んだ空気がそのまま天井裏に排気されてしまいます。それが毎日続くと天井裏に湿気が溜まり大変な事になってしまいます。
●ダウンライトと近すぎるドア
写真を見るとダウンライトのすぐ下に、木製の扉が被っているのがわかります。本来、ドアの軌道上にダウンライトを設置することはしません。白熱球はかなりの熱を持つため、この部分が重なっていると火災の原因になってしまう事があるためです。
●給気口のスリーブ忘れ
緑色の部分が外壁側、手前が室内側の給気口です。通常は、室内と外とをスリーブ管(筒)でつなぐのですが、未施工となっています。これでは、外壁に断熱材を吹き付けても断熱材よりも室内側に外気が入ってしまい、冷暖房効率が悪くなるだけでなく、冬には結露が発生する原因となってしまうこともあります。
●給気口の固定不良
給気口が固定されていません。見た目の問題もさることながら、気密性の高いマンションでは、外気を吸い込む勢いで、 給気口のキャップが外れてしまったり、このすき間から外気が入ってしまうため壁が汚れやすくなってしまいます。 気がついたときには、この周辺が真っ黒ということもあり得ます。
●カマ錠受けの堀り忘れ
引き戸のカマ錠を受ける部分の掘り込みがありません。引き戸の開閉に支障はありませんが、これでは鍵が掛かかりません。扉は動かすだけでなく調整の度合いや鍵の掛かりもチェックする必要があります。
●カーテンレールの曲がり
カーテンレールが曲がって付いています。このままでもカーテンを吊るすことは出来ますが、正面に立って見た場合 左右の高さが違って見えてしまいます。
●断熱材の施工順序が違う
この物件はパイプシャフト部分を利用してエアコンの配管配線をする仕様になっています。 エアコンスリーブのキャップを外して内部を確認したところ、給湯器のガス・給水・給湯の配管がされた後 (配管の上から)に断熱材のウレタンが吹付けられていました。残念ながらこのような工事をしている物件は多いのですが これでは断熱の効率が悪くなってしまいます。
●給気口がふさがれている
大きな箱は、バルコニーにある貯湯タンクです。この貯湯タンクと給気口のキャップの位置関係が上下の写真で異なっています。給気口は、室内に外気を取り入れる場所ですから、そこに箱がかぶっていると、計画通りに給気をすることが出来ないためよくありません。
●ダクトの配管がない
左の写真は、キッチンのレンジフードです。上の部分は幕板(目隠し板)になっていて、本来見えない部分ですが中を見てみると そこには配管がありません。ここは火を使う場所ですから、温度の高い排気をするため、配管をせずこのままにしておいては、火災を起こしてしまう可能性もあります。
●水漏れ
流し台の排水管に水漏れがみられます。内覧会の時には、水を出すだけでなく排水した後の配管の状態を確認する事も重要です。
●フローリングから泡?
フローリングの隙間から白い泡状の液体がでています。前日にかけたワックスがフローリングの下に入りこんで床の下に溜まっています。これを修繕するためにはフローリングを剥がさなければなりません。
●給気口固定不良
ベランダにある給気カバー外れています。バルコニーには庇がありますが、このように低い部分では雨が直接かかることもあり、このままだと、その雨がすき間から室内に入ってしまうこともあります。
●天井が抜けている
下地の石膏ボードがない状態でその上からクロスが貼られています。穴が開いていなければ表面的な仕上がりには問題ありません。しかし、このように石膏ボードが一部で不足していると 付近の湿度が上がった場合、この部分にシワが寄ってしまうことがあります。
●浮いたままのフタ
洗面台の下です。本来は必要な部分だけに穴を開けて配管しますが、大きく開け過ぎています。さらに取り付けたフタは浮いたままです。 これでは適切な仕上がりとはいえません。この部分の修繕をするためには、洗面台の下を丸ごと交換する事になります。
●スリーブが貫通していない
部屋の外側(バルコニー側)
部屋の内側(同じ高さです) 室内側には給気口がありません。
この状態では住戸に設置してある換気扇が本来の能力を発揮することができません。
●ダクト支持具の不足
スパイラルダクトの吊り金物が不足しています。左の画像では2本吊るようになっていますが、場所によっては1本でも大丈夫な場合もあります。しかしここには1本もありません。このままでは換気扇の配管が、換気扇自身の振動などで外れやすくなってしまいます。
●戸あたりの設置ミス
上の写真では、戸当りの位置を間違えているまま、そのままドアを吊っています。下の写真では戸当りの向きを間違えてドアを削っています。修繕するためには、扉を2本とも交換する事になります。
●戸あたりの場所が不適正
上の写真が、ドアを閉める前のものです。下の写真は、ドアを閉めた後のものですが、ドアが戸当たりにぶつかる前に、換気用のレジスターに当たっています。さらにエアコンの配管もできませんし、エアコンの室外機を置く事も出来ません。修繕するために戸当りの位置を変更して取り付けることになります。
●床と扉がこすれる
扉を開こうとするときに床と扉がこすれている状態です。建具の調整が悪いためにこのようになることもありますが、床の仕上がりがデコボコ(平らでない)ため、こすれているのです。これを直すにはフローリングをはがして、下地を調整して再度フローリングをはります。
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・新築賃貸区分マンション内覧会立会い