無駄な支出を防ぐ!一棟アパートなど木造建物の外周り点検ポイント
木造の建物は外壁や屋根など外まわりの小さな傷みでもを放置すると、雨水の侵入などで、構造部分である木部の傷みが進んで大がかりな工事に発展するケースがあります。建物にかかる維持修繕費を抑えるには、こまめな点検で傷みを把握し、症状が進みすぎないうちに修繕することが肝心です。
そこで、さくら事務所インスペクションの診断事例をもとに外から点検できる木造外周部のチェックポイントをご紹介します。
屋根の点検でクレームを防ぐ
金属板葺きの屋根は3~4年ごと、それ以外は5年ごとに目視点検します。双眼鏡やカメラなどで、屋根に「変形」「変色」「欠け」「めくれ」がないか、全体を見回して観察しましょう。
建物の被害で一番怖いのは雨漏り。雨漏り調査をさくら事務所に依頼された大家さんの例では、賃借人から内装と家財にカビが生えたとクレームがあり事態が発覚。屋根裏を調べたところ、すでに柱や梁の一部は腐っており、シロアリも発生していました。結局、屋根材の葺き替えだけでなく構造材の一部交換もすることに。想定外の出費になったようです。
なお、最上階に空室があれば、室内の天井や天井裏をのぞき、雨染みがないか確認するのもお勧めです。特に傷みがなければ15年ごとに全面葺き替えを検討しましょう。
外壁は実際に触ってみよう
3年ごとに目視点検します。壁表面にコケや汚れ、ひび割れなどがないかを下から上まで見ていきます。特にひび割れは、浅く幅が狭いものが多少ある分には経過観察でも問題ない場合がほとんどですが、一定の場所に集中していたり、全体に多数見られたりしたら調査や修繕の専門家に相談しましょう。
塗装仕上げの外壁は、指先で塗装表面を軽く擦り、チョーク(白墨)のような粉がつかないかを調べます。粉がつけば、塗装が剥げ始める「チョーキング」が発生しています。進行しすぎると塗り直しでは機能回復できなくなることも。外壁塗装は15年~20年ごとに行いますが、環境や材料により早く傷むこともあるため、チョーキングを確認したら塗装工事の検討を始めましょう。
サイディング壁は、継ぎ目にある目地を埋めるシーリング材を観察します。ひどく縮んでいたりひび割れが多数あると、隙間から雨が入り込む恐れもあります。一般的にシーリング材は7~10年ごとに打ち替えますが、早く傷むこともあるので、症状がひどければ修繕時期を早めます。
傷みを初期に把握できれば、経過観察でいいのか、早急に手を打つのかを修繕時期を検討できます。建物の傷みは入居者募集にも影響を与えかねませんから、計画的な点検と修繕をおすすめします。
建物の外まわり、傾きや床下・屋根裏の施工状態、水周りなどをチェックしたい場合は・・・
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