長嶋修が解説!2018年の注目不動産最新トピック3つ
収益物件のオーナー様、投資物件をお探しの方なら知っておきたい2018年注目のトピックを不動産コンサルタント長嶋修が解説します!
都心湾岸地区は多摩ニュータウンのようになる?
30代を中心とした若い世代に根強い人気を誇る、豊洲、勝どきといった都心の湾岸地区。
一気に人口が増えましたが、高齢化が進行して建物も老朽化すれば、現在の多摩ニュータウンのようなゴーストタウンになってしまうのではないかと予測する向きもあります。
一言に多摩ニュータウンと言ってもエリアは広く、駅前では建替えや新築マンションの建設もありますが、駅から離れたいわゆる「バス便」エリアでは賃貸棟の全50戸中4戸しか入居がない、なんてことも。
湾岸地区も先々、同じ道をたどるのでしょうか?
確かに湾岸地区は、高度経済成長期の多摩ニュータウン同様、30~40代を中心とした層が比較的短期間に流れ込んできており、その人口構造は似たものがあるでしょう。とはいえ、都心・オフィスから近いその立地は、今後も一定数の若年層のニーズがあると予想され、極端に高齢化するなどの事態は起こらないでしょう。当然、それに伴い資産性も一定程度確保される可能性が高いと言えます。不動産は1にも2にも3にも「ロケーション」です。
オリンピック後、晴海の選手村はその8割近くが分譲棟になり、更にそれ以外にも同エリアには1万戸以上の分譲計画があるとも言われています。
懸念すべきは、インフラ整備ではないでしょうか。
幼稚園、小学校などの子育て・教育施設の不足は深刻化する可能性があります。
今既に猛烈な通勤ラッシュが話題ですが、このままでは「都心からは近いけれど、不便で住みにくい街」となってしまうかもしれません。小池都政は道路やBRTなどの実現を大幅に遅らせています。
間もなく!2022年問題が地価下落を招く?
1992年に施行された現行の生産緑地法。都市部で農家をやってくれるんだったら固定資産税を大幅に減額しますよ、というものでした。
その際に設けられた期限(30年)が2022年に終了します。当時、30年という期限に特に根拠はなく、なんとなく遠い未来を描いたのでしょう。
期限が終了すれば、固定資産税等の減額は適用されず、その事実上の増税から、都市の農地(生産緑地)が一斉に売り出されるんじゃないか?と言われています。
跡継ぎがいれば・・・、都市の農園として貸し出してくれるのであれば・・・、といった条件付きでこれまで通りの税率とするところや10年の延長など法改正や自治体の努力も見られますたが、それでもこのままでは相当な量の農地が市場に出される可能性が高いでしょう。結局は「農業を継ぐ後継者がいるか」という話。自治体がアンケートを取ると「よくに売る予定はない」「決まっていない」と回答する農家が多いのですが、これは聞き方にも問題があり、2022年までまだ間があるため、後継者と話し合いができていないケースが大半と見ます。
最低2割、多くて3割程、売り出される可能性があるのではないかと思います。都市部の農地は、東京ドーム2800個分と言われていますが、その3割が売り出されても東京ドーム840個分になります。
都内の農地も練馬、世田谷、杉並あたりにかたまっていますが、売り出された場合、立地がよければ新築マンション、立地があまりよくなければ戸建ての用地となるでしょう。もし売り出さなくとも、税金アップ、相続増税に備え、賃貸住宅にするケースも多いでしょう。介護施設がたつかもしれません。人口減少、住宅あまりが叫ばれる今、どちらにしろ、更に住宅がつくられることになります。最終的に、日本全体から見て「空き家が増えるだけ」という結論になりそうです。
羽田の空路変更問題
昨年末からニュースでも取り上げられている羽田空港の空路変更ですが、問題なのは新ルート案のその航路。
松濤、白金、広尾、代官山と高級住宅街にかかっているのです。
代官山あたりで高度600Mくらいを飛行することになります。
高度600Mを飛行機が通った場合、地上の音の大きさは70dBを越えます。
電車の中のような感じをイメージして頂ければ近いかと思います。
この辺り、タワーマンションが多いエリアでもあります。これまでは眺望重視で階が上がれば上がるほど資産価値があるとされていましたが、このエリアにおいては今後、上がれば上がるほど、逆にうるさくなってしまう・・・ということになる可能性も。
また、閑静な住宅街のイメージが強いエリアでは、これを機に出ていく方も多いかも知れません。とはいえ、音は個人の感じ方による部分も大きく、今この辺りにお住まいでご心配されている方もいますが、実際に飛行機が通ったらさほど気にならなかった、なんてケースもあるでしょう。
先日、空路変更に伴う「説明会」に行ってきました。国交省担当者に詰め寄り、猛然と抗議している人もいれば、静かに展示パネルを眺めている人もいました。担当者によれば「地域によっては、コテンパンにやっつけられることもあります」とのこと。とはいえ、私の印象としては、国交省としては、やれることは概ねやっていると思います。
他にできることがあるとすれば「現在想定されている時間や本数を超えて飛行機を飛ばさないこと」「学校や病院など公共施設だけでなく一般住宅にも騒音対策補助金をつけること」「準備が整い次第試験飛行を行うこと」くらいでしょうか。