レオパレスの施工不良、収益一戸建でも起こりうる延焼の危険とは?
レオパレスによるアパートの施工不良、建築基準法違反疑惑のニュース。
屋根裏の界壁が無い、施工が不十分な箇所があり、火災時の延焼の危険が指摘されています。
簡単に解説をすると、アパートやマンションなどの共同住宅・長屋では、火災が発生した際に急に火がまわらない様に、各住戸ごとに見えないところで防火対策を施しています。
今回の事件は、天井裏(屋根裏)まで火が付いた際に、直ぐに隣住戸に燃え広がらない様にするための壁(界壁)がそもそも無かったり、防火のための性能を満たしてない施工がされているので、重大な建築基準法違反として告知、報道がされています。
防火のための処置は、アパートやマンションなどの共同住宅だけでなく、一戸建てにもあります。
特に準耐火構造・耐火構造などの建物は、一戸建てには界壁は無いものの、外壁や間仕切り壁などには防火のための性能が求められています。 その一戸建てにも施工の不具合は見受けられ、法定検査である完了検査では対象にしてないことも多く、このように見逃されてしまいます。その場合、火災が発生すれば共同住宅であれば隣住戸、火災が大きくなれば近隣の住宅まで被害が生じてしまいます。
今回は、さくら事務所の新築一戸建て内覧会(竣工検査)立会い・同行サービスで遭遇した、延焼の可能性のある屋根裏の不具合をご紹介します。
延焼の危険?そもそも延焼とは?
延焼とは、「火元以外の建物に燃え広がること」を言います。
阪神淡路大震災では地震に耐えた建物も、地震後の火災にあって被害が拡大しました。
これら「延焼」への対策は全国各地で議論されており、町レベルで早急に解決を目指すべき問題とされています。
個々の建物レベルでは、建築基準法が“建物外部の延焼対策”を定めており、延焼の被害が拡大しないように求めています。
建築基準法では準防火地域内に「延焼のおそれのある部分」を定めています。
「延焼のおそれのある部分」とは、建物のまわりで火災があったときに延焼する可能性の高い部分のことで、原則、隣地境界線又は前面道路中心線から、1階は3m以下、2階以上の場合は5m以下の距離にある部分のことをいい、外壁・開口部・軒裏・屋根などに防火などの性能が求められています。
この部分は、最低でも20分間は延焼による被害を抑えるようにする必要があります。
消防車は5分以内に現場に到着することが目標とされていますので、この基準を満たした部分は満たしていないものよりはるかに安心できると言えるでしょう。
しかし、建物は人の手によってつくられていくもの。意図せずとも、ミスやチェック漏れから不具合は起こり得ます。
インスペクション(住宅診断)でよくある不具合 ●●が貼られていない!
建築基準法で定められていることも、徹底されていないと意味がありません。
設計段階で基準を満たす設計がされていても、実際にその通りに施工されていないと意味がないのです。
インスペクション(住宅診断)の現場では、防火に対する不具合事例がときどき見られます。
例えば下の写真。屋根裏の写真ですが、なにが不具合かわかりますか?
正しく施工された写真はコチラです。
答えは、「石膏ボードが貼られていない」です。
三角形に切られたベージュの板が「石膏ボード」といい、燃えにくい素材でできています。
これが貼られていないと、まわりで火事があったときに温度が上昇し、屋根裏で着火する恐れがあります。
こんな重要なことを忘れるなんてありえるの!?と思われる方もいらっしゃると思いますが、インスペクションの現場では時折見られる事例です。
天井が一度貼られると人目に付かなくなるため、一度忘れるとチェックが甘くなってしまうのでしょう。
このような事例は、建築の知識がないと、内覧会などで見てもなかなか気づかない部分です。
もし心配であれば、お引き渡し前にホームインスペクターなどの専門家にホームインスペクション(住宅診断)を依頼するのもいいでしょう。
天井裏や床下などの見えないところだけをプロに依頼する、というのもおすすめです。